YouTube・ショート動画の企画、台本、編集、導線づくりを、集客の目線で解説します。

Channel Design

チャンネル設計

見込み客に届く動画のターゲットの決め方

目次
  1. ターゲットを絞らないと起きること
  2. 書き出す項目
  3. 悩みを「検索の言葉」に直す
  4. 知識の量に合わせて言葉を選ぶ
  5. 動画ごとのターゲットを一言で書く
  6. 次にやること

動画のターゲットは、「いま悩みを抱えていて、解決のために情報を探している人」を一人思い浮かべて、その人の状況を書き出すと決まります。年齢や性別だけで決めるより、「何に困り、どこで動画を見るか」まで書くほうが、企画に使えるターゲットになります。

ターゲットを絞らないと起きること

「できるだけ多くの人に見てほしい」と考えて、誰にでも当てはまる話をすると、動画は薄くなります。冒頭で「こんにちは、今日は仕事に役立つ話をします」と言われても、見る人は自分向けだと感じません。

絞ることは、他の人を切り捨てることではありません。具体的な一人に向けて話した内容は、似た状況の別の人にも届きやすいものです。反対に、全員向けの話は、全員にとって「なんとなく知っている話」になりがちです。

絞り込みの度合いで迷ったときは、「その人に一対一で説明できるか」を基準にします。説明する相手の顔が浮かぶ程度まで絞れていれば、十分です。浮かばない場合はまだ広すぎます。

逆に絞りすぎて、検索する人が極端に少ない題材になることもあります。その場合は、悩みはそのままに、状況の条件を一つ外してみます。例えば「一人で店を回している」を「小さな事業をしている」に広げるなど、調整できる幅を持たせます。

書き出す項目

ターゲットを書くときは、次の項目を埋めてみてください。すべて埋まらなくても構いません。

  • 状況: 仕事、家庭、立場など。例えば「小さな店を一人で回している」
  • 悩み: 今いちばん困っていること
  • 検索のしかた: 検索窓に打ちそうな言葉、質問文の形
  • 見る場面: 通勤中、昼休み、夜の自宅など
  • 知識の量: 用語をどこまで知っているか
  • 動く条件: 問い合わせや購入に進む前に、何が分かれば安心するか

作り話のプロフィールを細かく作り込む必要はありません。実際に受けた相談や問い合わせの内容から、共通点を拾うだけで十分です。

項目を書いてみると、「動く条件」の欄が空白になる人が多いです。ここは集客では特に大切な部分で、見込み客が問い合わせや来店に進む前に、何を知れば安心できるかを表します。料金の目安、対応の流れ、実際の作業の様子などが典型です。

この欄が書けたら、その内容を扱う動画を企画に入れます。たとえば「相談から納品までの流れ」を実際の画面で見せる動画は、問い合わせ前の不安を減らす役割を担います。派手な内容ではなくても、行動の直前に見られる動画としての価値は高いものです。

悩みを「検索の言葉」に直す

ターゲットが決まったら、その人の悩みを検索語に直します。人は自分の悩みを、専門家が使う言葉では検索しないからです。

たとえば、設計の専門家が「構造計算」と言う場面でも、見込み客は「家 地震 大丈夫か 調べ方」と検索するかもしれません。この差を埋めるのが、動画のタイトルと冒頭の一言です。

検索語を探すには、YouTubeの検索窓に言葉を入れたときに出る候補を見る方法があります。候補は検索された言葉に基づくので、見込み客の言い回しを知る手がかりになります。

知識の量に合わせて言葉を選ぶ

同じテーマでも、初心者向けと経験者向けでは動画の作りが変わります。初心者向けなら、専門用語は最初に一度だけ説明するか、言い換えて使います。経験者向けなら、基本の説明を省いて、判断の分かれ目や例外を深く扱います。

1本の動画で両方に向けようとすると、初心者には難しく、経験者には退屈になります。チャンネル全体では両方を扱っても、動画ごとに「この回は初心者向け」と決めておくと、話の長さと順番が整います。

知識の量を判断する簡単な方法は、問い合わせで使われる言葉を見ることです。専門用語を使って質問してくる人は経験者、「そもそも何から始めれば」という聞き方をする人は初心者です。

初心者向けの動画では、結論を先に述べ、理由は短く、手順は番号付きで示します。経験者向けでは、前提の説明を省き、比較や例外、判断の基準を多く扱います。どちらの場合も、動画の最初の数十秒で「この動画は誰向けか」を宣言すると、見る人の期待が合い、途中で離れる人が減ります。

動画ごとのターゲットを一言で書く

台本を書く前に、次の一言をメモに書いておきます。

「この動画は、(状況)の人が(悩み)を解決するための動画」

書けないときは、企画がまだ固まっていないサインです。書いたメモは、冒頭の数秒に反映します。「店を一人で回していて、動画の編集時間が取れない方へ」のように、見る人が自分のことだと気づける呼びかけを入れると、続きを見てもらいやすくなります。

ターゲットを決めても、コメントや問い合わせで想定外の層が反応することがあります。そのときは、想定が間違っていたと考えるより、新しい層が見つかったと捉えます。ただし、すぐにチャンネル全体の方向を変えず、まず1〜2本の動画でその層に向けた話をして、反応を見ます。

ターゲットの設定は、仮説です。仮説と実際の反応を比べながら、少しずつ精度を上げていくものだと考えると、最初から完璧を目指さずに済みます。

次にやること

まず、直近で受けた相談や問い合わせを5件書き出し、共通する状況と悩みを探してください。次に、その悩みを検索窓に打つとしたらどんな言葉になるかを3パターン考え、実際にYouTubeで検索して候補を確認します。

最後に、次の動画の企画1本を選び、「この動画は、○○の人が△△を解決するための動画」と一文で書いてみましょう。この一文が台本とタイトルの軸になります。ターゲットは一度決めて終わりではなく、視聴者のコメントや質問が増えたら、書き出しを更新していきます。

ターゲットの設定は、広告や記事、SNSの発信にもそのまま使えます。動画のために書いた人物像をチームや家族と共有しておくと、ホームページの文言やチラシの言葉も揃いやすくなります。

動画だけで集客を完結させようとせず、他の発信と同じ相手を見ているかを確認するだけでも、全体の説得力が上がります。見込み客は、複数の場所で同じ話を聞いたときに、その情報を信頼しやすくなるためです。

なお、個人を特定できる情報を使ってターゲットを作る必要はありません。実在の顧客のプロフィールをそのまま載せることは避け、共通する傾向だけを抽象化して書いてください。

最後に、ターゲットを書いた紙は、撮影の前に必ず見える場所へ貼っておくと役立ちます。台本を書いている途中で、つい自分の得意な話を長く語りたくなったとき、紙を見て「この人は今これを知りたいのか」と立ち止まれるからです。

見込み客に向けた動画は、見る側の時間を預かる行為でもあります。相手の状況を想像して言葉を選ぶ姿勢は、動画の数字だけでなく、問い合わせの質にも表れてきます。