テロップは、「話している内容のうち、大事な言葉と数字だけを、短く大きく表示する」のが基本です。話した内容をすべて文字にする必要はなく、入れすぎると読むのが追いつかず、かえって見づらくなります。この記事では、入れる場所、文字の基準、作業の手順を説明します。
テロップの役割
テロップには、主に三つの役割があります。
- 音を出せない環境の人にも内容を伝える
- 大事な言葉を強調して、記憶に残りやすくする
- 聞き取りにくい言葉や、専門用語を補う
通勤中や職場など、音を出せない場所で動画を見る人は少なくありません。そうした人にも要点が伝わるよう、テロップで補います。
テロップを入れるかどうかは、動画の目的と、視聴者の環境で決めます。説明動画では、手順の名前や数字をテロップで見せると、見返したときの理解を助けます。反対に、雰囲気を伝える動画では、文字が少ないほうが映像に集中できる場合もあります。
チャンネル全体で、テロップの量と使い方の方針を決めておくと、動画ごとの印象が揃います。方針を決めるときは、視聴者のコメントで「見づらい」「読めない」といった声がないかも手がかりにします。
テロップは、見る人のために入れるものです。作る側の自己満足で、凝った装飾を入れると、かえって読みにくくなります。迷ったときは、「何も飾らない白い文字に黒い縁取り」を基準にして、必要なときだけ工夫を足す考え方が安全です。
どこにテロップを入れるか
入れる場所
- 動画の主題を示す冒頭の見出し
- 手順の番号と名前
- 数字、期限、固有名詞
- 聞き取りにくい専門用語
入れなくてよい場所
- 説明が簡単で、聞けば分かる場面
- 映像だけで伝わる場面
- 画面に別の文字が多く出ている場面
話す内容を全文字起こしする方法(字幕)もありますが、集客用の動画では、要点だけにしたほうが、見る人の負担が少なくなります。ただし、聴覚に障害のある人など、字幕を必要とする人への配慮として、字幕機能を使う選択肢もあります。
読みやすい文字の基準
文字数
1つのテロップは、1行15字前後、多くても2行までにします。長い文は、2回に分けて表示します。
大きさ
スマホの画面で読めるかを基準にします。パソコンで確認するときは、画面を縮小して実際のスマホの大きさにして確かめます。
フォント
ゴシック体などの、線の太さが均一で読みやすい書体を選びます。装飾が強いフォントは、可読性が下がります。フォントのライセンスは、商用利用の可否を確認して選んでください。
色と縁取り
背景と文字の明るさの差をつけます。白い文字に黒い縁取り、または色付きの帯の上に文字を置く方法が一般的です。チャンネル内で色の使い方を統一すると、見やすさとブランドの一貫性が出ます。
表示位置
画面の下部に字幕、中央付近に見出しを置くのが定番です。ただし、スマホの下部にはアプリの操作ボタンが重なる場合があるため、最下部は避け、少し上に置きます。顔や手元の作業と重ならない位置も考えます。
文字の見やすさは、背景の映像によっても変わります。背景が明るいか暗いか、動きがあるかないかで、同じ色の文字でも読みやすさが違います。
背景が複雑な場面では、文字の後ろに半透明の帯を敷くと、可読性が上がります。帯の色は、チャンネルの色に合わせ、透明度は映像が見える程度にします。実際にスマホで再生して、動きのある場面でも読めることを確認します。
表示するタイミングと時間
テロップは、話の内容と同時、または少し前に表示します。内容が出る前に文字だけが先に出ると、音声より先に読み終わってしまい、見る人が混乱します。
表示時間は、読み終わるのに十分な長さにします。目安として、1行を読むのに2秒以上は確保します。短すぎると読めず、長すぎるとテンポが悪くなります。
タイミングを合わせる作業は、手間がかかる部分です。時間を節約する方法として、一度に全部のテロップを並べてから調整するより、場面ごとに入れては確認するほうが、ミスに気づきやすくなります。
また、音声の波形を見ながらテロップの位置を合わせる機能が、多くの編集ソフトにあります。話の区切りと波形の切れ目を目安にすると、タイミングがそろいやすくなります。
作業の手順
- 台本からテロップにする言葉を選ぶ
- 編集ソフトのテキスト機能で文字を入れる
- 最初の1つの書式(フォント、大きさ、色)を決める
- 他のテロップにも同じ書式をコピーして適用する
- 表示のタイミングを調整する
書式をテンプレートとして保存しておくと、次の動画からの作業が速くなります。自動で文字起こしをする機能があるソフトもあります。精度は完全ではないので、誤字や誤変換は必ず自分の目で確認してください。
自動文字起こしを使う場合は、そのままでは誤字や固有名詞の間違いが残ります。特に、専門用語や人名、地名、商品名は誤変換されやすいので、重点的に確認します。
確認の際に、音声を再生しながら文字を目で追うと、ミスを見つけやすくなります。一度に確認する量を決め、集中力が切れる前に休憩を挟むと、見落としが減ります。
入れすぎを防ぐ
テロップは、足し算より引き算が大切です。次の問いで見直します。
- この文字がなくても伝わるか
- 同じ意味の文字が、画面の別の場所にもないか
- 話している言葉と一字一句同じではないか
装飾や動きを多用するのも避けます。派手な動きは目を引きますが、内容への集中を妨げることがあります。
入れすぎを防ぐには、1分あたりのテロップの数を決めておく方法もあります。たとえば「1分に5〜8個まで」のような上限を自分で決め、守ります。上限があると、本当に必要なものだけを選ぶ癖がつきます。
また、同じテロップを繰り返し表示するのも避けます。見出しとして一度出したら、その後は話の中で触れるだけにして、画面の情報量を減らします。
次にやること
投稿済みの動画を1本、スマホで音を消して見てみましょう。音がなくても内容が分かるか、テロップが読めるか、読み切れずに次へ進んでしまわないかを確認します。気づいた点をもとに、テロップの書式のルール(文字数、色、位置)をメモに書き出し、次の動画から使います。
テロップの書式を決めたら、設定をメモに書き出しておきましょう。フォント名、大きさ、色、縁取りの太さ、表示位置を記録しておけば、編集ソフトを変えたときや、他の人に編集を頼むときに、同じ見た目を再現できます。
テロップの工夫は、数を重ねるうちに自分なりのパターンが見えてきます。反応の良かった動画のテロップは、保存して見返す素材になります。
まずは1本、この記事の内容を一つだけ試し、前後を見比べてみてください。小さな改善の積み重ねが、チャンネル全体の見やすさにつながります。




